
【気になる住宅ローン事情】
こちらでは、“人生の中で一番大きな買い物”と言われて長い不動産購入の際での「住宅ローン」について、これまで数百件にわたりお客様の住宅ローンを実施(実行)して来た不動産営業マンが、独自の視点からお話しできる範囲でわかりやすくお話したいと思います。
※尚、経験と調査に基づく記述につき、ご覧になられた方々の自己責任でご判断下さいます様お願い申し上げます。
住宅ローン|借入期間
住宅ローンの借入期間については、「35年」が圧倒的に多いです。
なぜ、借入期間を35年間に設定する人が多いのでしょうか。
住宅購入で気持ちが高揚している際にこれに疑問を感じる方は少ないとは思いますが、単に金融機関が用意したスタンダードモデルの商品だからと言っても過言ではないでしょう。
少し怖い話をしますと、これは平成初期に旧住宅金融公庫(フラット35で有名な現在の住宅金融支援機構)が、日本国民が住宅を手に入れやすくするために用意したものの、経済衰退や終身雇用の崩壊により大打撃を受け“焦げついた金融商品”である「ステップローン(俗に「ゆとりローン」と呼ばれたもの。)」の失敗に起因するものだと個人的には考えています。これには当然ながら政府も指導(自ら反省)せざるを得なかったでしょう。
住宅ローン|店頭公開金利
店頭公開金利と銀行の種類
金利を語るに都銀(都市銀行)と地銀(第一、第二を含めた地方銀行)の話は外せないでしょう。
まずはじめに、金融機関には店頭公開金利というものが有りまして、都銀では「2.475%」、地銀では「2.675%」が現在(2024年10月)設定されています。
住宅ローンでは、この店頭公開金利から『金利優遇』を勝ち取り、実行金利が決定したことにより毎月の返済額が決定して行くのです。
因みにですが、現在日本国内で存在する都銀は、みずほ銀行・三井住友銀行・三菱UFJ銀行・りそな銀行の四行のみ。
皆様が知る銀行で上記の四行以外は、全て地銀(地方銀行)ということになります。
★金融庁「銀行免許一覧」(都市銀行・信託銀行・地方銀行・第二地方銀行・その他)
住宅ローン|固定金利と変動金利
最初の関門「固定か、変動か」
住宅ローンを借り入れる際、誰しもが一度は考えるのがこの「固定金利か、変動金利か」の問題。
私自身の経験談としては、固定金利を選択したい気持ちがある方のほうが、このことについて考えている時間が長く、そして深いという傾向が見受けられると思っています。
考える時間でわかる!?
【考える時間が“短い人”の特徴】
CASE1:金利の低さを重要視する方→「変動金利」
CASE2:金利上昇など余計な心配はしたくない方→「固定金利」
【考える時間が“長い人”の特徴】
CASE3:固定金利にしようと思っているけど支払いが…
CASE4:金利は低い方が良いけど支払いが上がるのは嫌…
【固定金利と変動金利の割合】
2023年4月調査(期間2022年10月~2023年3月)
・変動金利を選択:72.3%
・固定期間選択タイプを選択:18.3%
・固定金利(全期間)を選択:9.3%
この結果は、これまでに経験してきた肌感覚と合致しています。
私自身の感覚としましては、何らかの持病を有して「団信(団体信用生命保険)に加入できない方」や「転職して勤続年数が1年未満の方」などがフラット35を使用するということ以外では、いつの時代も『固定一割、ほか変動』といった内容が20年以上にわたり続いているという感覚です。
微増減は存在するものの、実に概ね7割の方が変動金利を選択しているのです。
※余談ですが、昨今の社会情勢を鑑みた結果、今後は「固定金利を選択する方」が確実に増えてゆき、“6割変動・2割固定”というバランスに転換して行くと思っています。
「変動金利が怖くない理由」
こちらでは、金銭消費貸借契約(ここでは、金融機関との「住宅ローン契約」をいう。)で既に説明を受けられた方も居られると思いますが、万が一にも将来的に「変動金利が上昇し、返済額が増えること」が有っても、それほどまでに恐怖することはないということを掲載します。
“5年ルールと125%ルール”
【5年ルール】
変動金利を選択した場合、1年間に2回(多くは4月と10月)見直されますが、その際に適用された金利が変動しても『返済額は、5年間一定とされている』こと。※但し、5年経過後には新返済額が決定します。
【125%ルール】
上記の5年ルールの経過後には金利上昇による差額を乗じて返済しないとなりませんが、ここにも消費者の生活を守るために『前返済額の125%を上限とする』125%ルール(これを「1.25倍ルール」ともいう。)が存在します。
※毎月10万円を返済している方は、5年間は10万円、5年経過後には最大で12万5,000円の返済額になる可能性が有るということです。
“メリット・デメリットは?”
メリットは、金利上昇後も生活を即圧迫させることはないということの一点で、デメリットとしては金利上昇による利息の拡大により、契約期間(返済期間)終了時にも“元本及び利息が残債として存在”してしまい、契約終了時に原則一括返済を求められることになることも考えないといけないということです。
少し長くはありますが下記をご参考に(P26前後参照)
★金融庁金融研究センター「家計へのストレスが住宅ローンへ与える影響」
番外編「固定金利が人気し、地銀が躍進!?」
個人的な見解であり推測の域を出ることはありませんが、超長期(35年:全期間固定)商品を有する都銀四行のうち三菱UFJ銀行以外の三行が、利益の出ないフラット35(買取型・保証型同様)を推すはずもなく、大半の地銀がフラット35の取り扱い窓口となっている現状を鑑みると、金利上昇後の「住宅ローン固定金利商戦」には地銀がノンバンクをリードし、地元意識の高さからその存在感を発揮させるのではないでしょうか。(2024年10月現在)
※何れにしても住宅金融支援機構の利益です。
結論「固定か、変動か」
当然のことですが様々な考えがあり、借り入れるご本人が決めれば良いことなのは明白ですが、単純に損得と私見だけで語るなら私自身ではこう思います。
【結論】
(1)35年間かけて返済する場合でも→「変動」
※未だ固定金利を選択した場合より多く支払う状況は考え難いからです。
(2)繰り上げ返済をする予定なら→絶対「変動」
※圧倒的に総支払額で得をすることでしょう!
(3)決まった支払いから上がるのは絶対に嫌→「固定」
※これについては全く迷う必要すら無いでしょう。
以上をもちまして「【必見!】「固定か、変動か」気になる住宅ローン事情」は終了となります。